建築業界の今後
建設業界の情勢としては、以前は価格のみで落札者を決める形の入札制度だったものの、現在は公共工事においては、価格や技術力も含めて落札者を決める総合評価方式の入札が一般的となりました。
また民間工事でも、環境への配慮や安全技術など、建築物の構造など以外の付加価値が重要視されてきている時代になっています。
そのため、これからの建設業界では、技術力が問われる市場になって来ているといえるでしょう。
具体的に建設業界の大手ゼネコンがどのような技術開発に取り組んでいるのかみてみると、まず省エネルギー技術においては、鹿島建設が一歩進んでいます。
省エネルギー技術は、建設物の付加価値の中でも環境への負担を少なくする配慮の1つとして重要視されている分野です。
その分野において、鹿島建設は、電子デバイス施設という施設における、二酸化炭素排出量の評価を短時間で行なう「熱源システム段階投資プログラム」なるものを開発しました。
電子デバイス施設というのは、半導体やフラットパネルディスプレー(FPD)を製造する施設で、ここでは冷凍機やボイラなどが頻繁に使用されます。
この冷凍機やボイラなどの熱源システムは、電子デバイス施設のエネルギー消費の半分を占めているので、この熱源システムを省エネ化することで、施設全体の運転コストや二酸化炭素排出量を大幅削減できるようになります。
鹿島建設の開発した熱源システム段階投資プログラムでは、熱源システムの稼動段階に応じて、運転コストや二酸化炭素の排出量を短時間で評価できるようになっています。
またセキュリティー分野でも、技術開発が積極的に行なわれています。例えば清水建設は、次世代セキュリティーシステムとして、無線ICタグを使って、入館者の位置をリアルタイムで確認可能にしました。
オートロックシステムと併用することで、お客さんや作業員などの来訪者の目的に応じて、入場禁止場所を変更していけば、より安全なセキュリティーができるようになっています。
これらは、今までの行き過ぎた価格競争によって、技術や経営がしっかりしていなくても価格が低ければ仕事が受注出来てしまった建設業界において、健全な建設市場となっていく現われともなっています。
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技術力を開発する
現在の不況の段階で技術力を開発しておくことで、建設投資が安定した時期がきたらより積極的な経営が出来るよう、今は磨きをかけておく段階となっているということです。
また他にも、安全・安心に重点を置いた建設技術の開発も進められています。この安全・安心とは、建設物自体の安全だけでなく、インフルエンザへの対策や既存建物からの危険物を取り除くロボット開発にまで及んでおり、建設業界は非常に広範囲にわたって安全技術を開発しているところです。
例えば大林組は、インフルエンザの発生によって医療機関で病床が不足した場合に一助となる、新型インフルエンザ対応緊急病棟(パンデミックエマージェンシーセンター)というものを開発しました。
これは、医療機関の病床が不足したときに、駐車場などの空き地に厚生労働省のガイドラインに即したプレハブ病棟を短期間で施工できるものです。
個室病室もあり、ウィルスが漏れない工夫などもしてある、高度なプレハブ病棟となっています。
そして、安全の中でも特に求められるのが、地震です。耐震技術の開発は、建設業界にあるどの会社も力を入れている分野です。
例えば戸田建設は、簡単かつ短期間で耐震性の高い建築物を作れるよう、従来の鉄筋コンクリートと同じ強度でありながら、型枠工事の大幅な削減が出来る耐震補強工法を開発しました。
また鹿島建設は、どこでも大地震を体感できる機械を開発し、免震や制震構造により揺れが低減できることを実感してもらえるようにしました。これによって、新築や改修を予定しているビルオーナーなどからの理解を深めることで、耐震技術を普及させようと考えています。
他にもこれはもともと大成建設内で使用していた地震予測速報システムで、気象庁の緊急地震速報をもとに、揺れの大きさと到達時間の予測をパソコンに割り込み表示するなどして、地震情報の配信をするものです。 大成建設は、顧客の企業存続計画策定支援の一環として、大成リアルタイム地震防災システムを売り出すことにしました。